タンポポだより
>>タンポポだより >>  「・・・女将『環』について・・・」
   
   
  「どんど晴れ」放送開始は、嫁と姑の関係がおもしろ、おかしく目立っていた芝居だったと思います。私も楽しんでいました。
夏美さんが女将修行を決意したあたりから、環にとって(イジメルという訳ではないのですが)夏美さんの存在がどうしても承知できないのでした。

私への声も「宮本さんはこんな人じゃないのに」又は「こんな役を宮本さんにやらせるなんて、NHKに投書しようかしら」とか、「ヒロインをいじめている宮本さんは見たくないのです。そういう宮本さんはイヤなのです」「今迄にない違った役ですねぇ──」
つまり宮本らしくないという御意見が多かったのです。

そうですね、私はいつもヒロインを支えたり、助けたり、映画でのキャラクターも、何かに立ち向かう人、やさしい心根を持った人、元気で明るい人、そういう役柄が好きですし、私の持ち味だとも思います。

普段の私なら、多分大女将といった役どころだったのではと思います。
今回は、内藤プロデューサーより「違った宮本さんを見たい。環という複雑な人間をどう演じるかを僕は見てみたい。」と 仰いました。

暫く時間を頂きたいと──。
私が演じるのですから・・・環が生理的にキライで受けつけない。又は、納得できないのなら芝居ができません。
はっきり言いまして、敵側に立ちます。キラワレマス。
私のイメージもあります〜〜〜わざわざ嫌われる役はやりたくはありません。ただの嫌味な女将にしたくありません。演じる俳優によって、表現も違います。
私が環を演じるなら〜〜〜色々考えました。

そして、出演を決めました。
環のヘソの部分はしっかり理由づけして、見て頂く方に理解していただけますようにとお願いしました。
そして、アイディアとして風水に凝っている。カツノさんから勝ちとった事。
母屋でのジャージ姿と特別の座椅子。
言葉は敢えて、標準語を使うこと。

環は加賀美屋の女将として、厳しい大女将カツノさんの指導に耐え、我慢もしてきました。しかし、なかなか認めてもらえません。 母屋に帰れば嫁と姑の立場で苦労もし、本当に報われない人なのですね。かわいい我が子の為(伸一も、もう少し、しっかりしてくれればいいのですが)に色々悩み苦労しているお母さんです。毎日精一杯折り合いをつけて生きている人です。

旅館を継がないと言っていた柾樹が帰ってくる!環一家は青天の霹靂です。
環の気持ちがよ〜〜〜く理解できます。
私は環に同情すら覚えます。

と、言う訳で初めての役柄に挑戦致しました。
放送はまだ9月末まで続きますからお楽しみにしてくださいませ。

でも環は、私自身ではありません〜〜〜(笑)お芝居です(笑)

これからの私は女優として、今迄培ってきたものに磨きをかけ、もう一方でその巾を拡げていけたらと思っています。
 

 

宮本信子

 

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