タンポポだより
>>タンポポだより >>   「・・・楽屋の鏡台と椅子・・・」
   
 
伊丹が亡くなって10年・・・・。
映画とはもう縁がなくなるでしょうからと、10年前の私は一大決心をしました。
『これからは、舞台中心に仕事をしていこう!その為に「化粧まえ」作ることにしよう』

鏡台・・・・私達は「化粧まえ」と云っておりますが・・・辞書をひいてもないのですネ。業界用語でしょうか・・・分からないのが実情です(笑)

ともあれ覚悟した私自身への思いを込めたものにしようと思ったのでした。これからの年令も考え、椅子にする。軽い材質、美しくて、繊細だが、強さがある。最高のものを!家紋を入れ、竹で編んだ網代を使いたい(私は大好きなのです・・・網代・・・あじろ)と注文致しました。

作って下さったのは、恩田勝哉さん。
素晴らしい江戸職人芸です。仕事師!
恩田さんは沢山の役者さんや俳優さんの「化粧まえ」を作っていらっしゃるけれど、椅子形式と網代は初めてと仰云いました。

材質は、一寸自慢させてください。(恩田さんの受け売り〜〜(笑))
伊豆七島にある、御蔵島(みくらじま)の桑の木です。桑の最高級のものだそうです。

釘は一本も使っていません。すごいでしょう〜〜〜(笑)
全部組み立てです。使用後は、トランクに納めます。組み立てる東宝芸能のスタッフはいつも汗だく〜〜〜なの!

ひきだしは小指を使います。色っぽい〜〜〜(笑)
前面が網代で恩田さんが編んで下さったのです。
あと一点「岡持(おかもち)」も作りました。飲物・台本を入れる把手のついた箱です。

美しい美しい私の「化粧まえ」です。
使うたびに、10年前に一大決心した私の覚悟を・・・・思うのです。

しかし。今の私は10年振りに映画に出演し、JAZZも歌っています。人生変わります。色々な出逢いもあります。しみじみそう思っております。

 

「宮本信子」の箱。
これは舞台の方々はよく持っていらっしゃいます。折りたたみなの。通称「ボテ」と言っています。

「舞台稽古」の前日は、休日になります。その日を使って楽屋作りをするのです。
私の荷物量は少ない方らしいです。

 
 

宮本信子

 

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